「全国旅行支援」実施に伴う宿泊料の上昇を便乗値上げと批判する声がある。しかし、需要の減少で低料金に甘んじてきた宿泊業界からすれば、単価アップは当然の価格変動だ。
10月11日から始まった政府による旅行需要喚起施策「全国旅行支援」を巡り、一部の消費者から「宿泊料金が上がっており、便乗値上げではないか」という声が上がっている。斉藤鉄夫国土交通相は「便乗値上げは需要創出支援の趣旨を逸脱するもので認められない」と火消しに乗り出した。しかし料金の上昇が便乗値上げに当たると消費者に受け止められてしまう点にこそ問題がある。
宿泊料金の上昇は、2020年後半に行われた「Go To トラベル」でも見られた。なぜなら旅行業界では、需給によって価格が変動する「ダイナミックプライシング」が当たり前になっているからだ。京都市観光協会データ年報によると、京都市内の調査対象宿泊施設における客室平均単価は20年11月、前月と比べて1.45倍となっていた。これは客室稼働率が前月の41%から、63.2%まで上昇したことによるものだ。同年12月に新型コロナウイルスの感染再拡大でGo To トラベルが中断に追い込まれると、再び客室稼働率は低迷し、客室単価も下落している。
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