大卒初任給が28万円、中途社員の年収が800万~1200万円。台湾積体電路製造(TSMC)の進出が熊本県の賃金相場を上昇させている。日本が目指す「良いインフレ」のモデルだ。

 半導体受託生産の世界最大手、TSMCの進出で熊本経済が沸いている。同県菊陽町に建設する工場の総投資額は約1兆2000億円で、経済産業省が最大4760億円を補助する。

 出荷開始は2024年末の予定だが、周辺では半導体や物流関連企業などの拠点開設が相次いでいる。最新の基準地価で、菊陽町の工業地の上昇率は32%で全国一となった。地元の肥後銀行には、1000件以上の融資相談を含む問い合わせが寄せられているという。

 現地では人材の争奪戦が始まっている。熊本労働局によると、県内の「半導体チップ製造工など」の有効求人倍率は、新型コロナの影響で20年度には0.56倍に落ち込んでいたが、21年度は3.33倍まで跳ね上がった。

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