10月から最低賃金が引き上げられた。だが、主婦などパートの年収はほとんど増えない。課税などを避けて働く時間を調整するためだ。これでは、人手不足時代を乗り切れない。

 急速に進む物価高を反映して今年度の最低賃金は、全国加重平均で時間当たり31円引き上げられ、961円となった。前年度比の伸び率は過去最高の3.3%だ。2015年度に安倍晋三首相(当時)が「一億総活躍社会」実現を目指し、最低賃金を全国平均で1000円に近づけていく方針を示して以降、ほぼ3%台が続いてきた。

 主婦などが多いパートタイムやアルバイトの働き手にとっては朗報のはずだが、実はその年収はほとんど上がっていない。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、時給は10年の1051円から21年の1263円へ11年間で約20.2%上がった。ところが、野村総合研究所の武田佳奈・上級コンサルタントの分析によると、パート労働者の年収はこの間、115万円から119万円へ約3.5%しか上がっていないのだ。

 背景にあるのは、パートの約6割を占める主婦などが働く時間を抑える就業調整だ。税や社会保険料の納付対象外となる年収に収まるようにしている。長年指摘されてきた問題だが、状況は変わっていない。15~64歳の生産年齢人口が、20年の7406万人から40年には5978万人へ大きく減っていく中で、これは放置できないはずだ。

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