家電量販各社が、メーカーから安く仕入れて大量販売するビジネスモデルからの脱却を目指し始めた。顧客とより深くつながるための取り組みが欠かせない。

 9月1日、ビックカメラの新社長に秋保徹氏が就任した。社長としての初仕事は、同日に開催した宅配水「puhha(プッハ)」のサービス開始発表会への登壇だった。

 家電量販なのに宅配水。しかも山梨県富士吉田市に26億円をかけて採水工場を建設し、ウオーターサーバーも独自開発したという。まるでメーカーのようなビジネスモデルに踏み出すのは、商品を仕入れて売る小売業の限界が見えているからだ。

 宅配水事業への参入を決めたのは、前社長の木村一義氏。木村氏は日興証券(現・SMBC日興証券)の副社長や会長を経てビックカメラ入りし、2020年9月に社長に就任した。20年8月期、単体決算で29億円の営業赤字に転落してしまった局面での登板だった。経営不振の背景には、新型コロナウイルス禍でインバウンド客が消失したことがある。電子商取引(EC)サイトなどとの競合が激しくなり、同じ商品を売っているのでは価格競争に陥るだけという現実があらわになった。

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