日本の医薬品市場への新薬の導入は進まず、後発薬は供給不安がくすぶり続ける。そんな事態の元凶は薬価制度にあると、厚生労働省は有識者検討会を設けて議論を開始した。

 暴利をむさぼることを意味する「薬九層倍」という言葉がある。薬は売値が非常に高く、原価の9倍もするという意味だ。1回の治療で数千万円するような高額な医薬品が批判的に話題にされたりするのも、この言葉の影響が少なくないだろう。

 しかし現実には、日本の公定薬価はそれほど利益が出る水準ではなさそうだ。実勢価格調査に基づいて行われる薬価改定により、価格を削られ続け、不採算に陥った医薬品は少なくない。一部企業による不正製造に端を発し、昨年来、後発薬の供給不足が続いているのも、不採算品目の増加が一因だ。また、特許が有効な新薬でも、市場規模が一定以上になれば容赦なく単価引き下げの憂き目に遭うのは日本市場くらいだ。

 薬価が下がるのは、製薬業界の過当競争体質や、独特の商慣行なども原因だが、財政当局が薬価を“都合のいいお財布”のように扱ってきたことも大きい。実際、医療機関に対する診療報酬を引き上げる際には、薬価引き下げによる財政の負担減を財源としてきた。財源確保の辻つまを合わせるために場当たり的な改革を重ねた結果、日本の薬価制度は極めて複雑になってしまった。

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