日本の医療用医薬品市場は横ばいからマイナスで推移するとみられる。かつて世界第2位だった日本市場は2026年には4位に転落する見通し。日本企業の海外市場攻略が急務だ。
日本の医療用医薬品の市場規模は、2026年にドイツに抜かれて世界4位に後退する──。米調査会社のIQVIAは21年12月にこんな見通しを発表した。
主要先進国の医薬品市場は26年にかけて平均で年率2~5%程度で成長する。これに対して、日本市場はマイナス2~1%と横ばいから減少傾向で推移する。高額な新薬が毎年登場するのに市場が成長しないのは、薬価改定などによる医療費の抑制策が効いているからだ。
医療費の抑制は、国民負担の軽減のため必要かもしれないが、懸念も生じる。かつて、米国に次いで世界第2位の“おいしい”市場だった日本の魅力が損なわれた結果、海外に比べて日本市場への新製品の導入が遅れるのではないかというものだ。
実際、これまで外資大手製薬のトップは、「このままでは日本での開発の優先順位を下げざるを得ない」と、医療費抑制を主眼とする日本の薬価制度にたびたび苦言を呈してきた。
世界的に見れば医薬品開発の担い手の顔ぶれは大きく変わりつつある。IQVIAによると、21年時点で世界中で臨床試験が行われている6685の候補品のうち72%に上る4786品目は、売上高5億ドル(約680億円)未満の新興バイオ企業のものだった。売上高100億ドルを超える世界大手の候補品は約19%にすぎない。
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