企業の不正会計が最近、再び増えている。だが、監査法人のチェックには限界も見える。刑事罰・行政罰の強化など抜本的な改革をしなければ、資本市場の危機にもつながりかねない。
「ここまでやられたら粉飾を見破るのは難しい」。東京証券取引所1部上場で半導体製造装置のマニュアル作成などを手がけるグレイステクノロジーで昨年11月発覚した不正会計の概要を知ったある中堅監査法人の幹部は絶句した。
同社では、創業者や幹部らが、東証マザーズに初上場する前年の2016年3月期から21年3月期までの間に大規模な架空の売り上げの計上を繰り返した。さらに架空の売上高に相当する分を自ら入金するなど会計士を欺く偽装工作までしていた。
不正会計が近年、再び増えている。東京商工リサーチのまとめによると、10年に24件だった不正会計の開示数は、19年には73件へと約3倍に増え、21年も51件に上った。
不正会計は、古くて新しい問題である。06年に明らかになった旧ライブドア事件のような世の耳目を集める不正会計が発覚すると、監査の強化が指摘されるが、効果はなかなか見えない。15年には東芝の不正会計が明るみに出た。
上場企業が約3900社に上る今、資本市場の信頼維持のため、改めて不正会計の抑止に向けた議論をすべきではないだろうか。不正会計を止めるためには、経営数値などから不正をチェックする「監査の強化」が欠かせないのは言うまでもない。
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