かつて公的資金を注入された半導体会社、エルピーダメモリが経営破綻してから丸10年がたつ。国が産業保護や再生にどこまで関与すべきか。古くて新しいテーマだ。

 2012年に経営破綻したエルピーダメモリは1999年にNECと日立製作所の記憶用半導体のDRAM事業を統合して設立。その後、三菱電機も合流して「日の丸半導体メーカー」として飛躍が期待されていた。

 破綻時に社長だった坂本幸雄氏がそのポジションに就いたのが2002年。そこから台湾DRAMメーカーとの提携戦略を軸に韓国サムスン電子に対抗し、世界3位まで復活した。

 だが半導体不況下で経営状況が悪化。09年に公的資金を使って一般企業に資本注入する改正産業活力再生法の認定を受け、日本政策投資銀行が約300億円を出資した。これを呼び水に銀行団も約1000億円を協調融資した。しかし結果的に一時的な延命策にすぎなかった。赤字が続いて資金繰りが悪化し、体力勝負の投資競争についていけなくなった。

 坂本氏によると、11年12月、政投銀から支援継続の条件を突きつけられた。「11年度末までに提携先を見つけて1000億~2000億円を資本増強してほしい」という厳しいものだった。坂本氏は「そこから数カ月、ほとんど日本にいなかった」。米マイクロン・テクノロジー、台湾のDRAM会社との提携交渉に奔走したためだ。11年4~12月期に約1000億円の最終赤字を出し、自前で12年4月以降の借入金返済は不可能になった。提携先も見つからず、会社更生法の適用を12年2月27日に申請した。

 「工場の最新鋭製造装置だけでなく、建物を走る配管まで担保の対象だった」(破綻処理の関係者)。破綻時に更生債権は約4000億円に上った。グローバル競争の中、微細化技術の開発、設備投資に多額の資金がかかり、借り入れやリース、社債で資金を調達した。資金繰りが追いつかず、自社工場でありながら設備の所有権はほとんど債権者にあった。

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