お酒の飲み方が多様化する一方、アルコール摂取量に対する規制が厳格化している。このままお酒の市場は縮小するのか。関連企業は新たなマーケティング発想が必要になる。

 「適正飲酒に対応しないと『社会で存在が許されなくなっていく』という危機感はある」。スマドリ(東京・墨田)の梶浦瑞穂社長は言う。

 同社は「お酒を飲まない・飲めない」消費者に焦点を当てたマーケティングやコミュニケーションを行うために、アサヒビールと電通デジタルが1月に設立した会社だ。アサヒは20~60代が分布する国内人口約8000万人のうち、半数の約4000万人はお酒を飲まない・飲めない人と推計。この層にアプローチする手段を模索中だ。

 梶浦社長は電通デジタルと組んだ理由について「ビール会社としてお酒を飲む人の気持ちはよく分かるが、飲めない・飲まない人のデータがなく、この層を十分に理解できなかったから」と説明する。

 スマドリが掲げる目標は、酒類メーカーにとってのフロンティアとなる4000万人市場の開拓。低アルコールやノンアルコールの新商品の開発に役立つデータを集めて分析する役割を果たすという。

 適正飲酒は社会的な要請になりつつある。1月6日にビール大手4社(キリンビール、アサヒビール、サントリービール、サッポロビール)が一斉に事業方針説明会を開催して「ビールの再成長」を掲げた。このとき同時に適正飲酒に対する取り組みの強化も力説した。SDGs(持続可能な開発目標)の観点から飲酒事故や健康障害など、アルコール問題への対応が不可欠となったからだ。実際、アルコールは規制強化の方向に進みつつある。

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