冬本番。電力需要が押し上がるが、実は供給余力が少なくなっている。再生可能エネルギー導入増による火力発電の縮小などが原因だ。脱炭素化に向けた生みの苦しみがそこにある。

 「やはり厳しいな」。2021年11月18日に経済産業省が公表した22年3月までの全国の電力需給見通しを見て、電力関係者はうなった。示されたのは、各電力会社管内での毎月の想定最大需要に対する電力供給の「余力」。安定供給のためには、供給力が最大需要を最低3%上回る必要があるが、寒さが厳しくなる22年2月は、東京電力管内が3.1%、北海道電力と東北電力を除く他の電力会社管内も3.9%とぎりぎりだったのだ。東電管内は1月も3.2%だった。

 余力のない範囲がここまで広がったことは、過去10年間ではなかった。経産省は、発電事業者が持つ休止中のLNG(液化天然ガス)火力発電所の再稼働や、メーカーの工場の自家発電からの調達を促すなど緊急の対策を21年10月までに講じたが、綱渡りの状況に変わりはない。

 原因の一つが、世界的な脱炭素化の大波とそれに伴う再エネの増加で、火力発電が縮小していることだ。経産省によると、火力の設備は16~20年度に約1730万キロワット(kW)分がなくなり、21~25年度も約189
0万kW分が休廃止する見込みだ。一方、新設は21~25年度に約1440万kW分で休廃止分より少なく、その前の16~20年度(約1550万kW)と比べても減ることになる。

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