岸田文雄首相は、新政権の目玉政策として「分配の強化」を掲げる。だが、子細に点検すれば中間層の支援政策はある程度できている。必要なのは、継続的で大胆な成長戦略だ。

 「分配戦略の第1は、働く人への分配機能の強化。第2は中間層の拡大と少子化政策だ。中間層の所得拡大へ国による分配機能を高めたい」。岸田首相は10月初め、新政権発足後の記者会見でこう表明し、分配政策を強く打ち出した。

 分配政策の主なものは、①賃上げ支援税制強化②下請けいじめなどへの監督強化③子育て世帯への教育費、住居費支援④看護師、介護福祉士、保育士などの収入増──などだ。2012年末に発足した安倍晋三政権以降のアベノミクスは、景気回復と株価の上昇を実現したが、潤ったのは利益を大幅に積み上げた大企業と富裕層ばかりとの指摘もある。

 長期にわたる日本経済のデフレ的状況は、1990年以降の30年間で年収がわずか4%しか増えない所得の低迷に一因がある。OECD(経済協力開発機構)の平均は33%増であり、日本の停滞は明らかだ。下請けいじめで中小企業への支払いが減らされるなど、あってはならないし、看護師、介護士などへの処遇改善も必要だ。コロナ下ではなおさらである。

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