この記事は日経ビジネス電子版に『半導体「ぱつんぱつん」いつまで、在庫余力で見劣りするルネサス』(8月9日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』8月16日号に掲載するものです。

半導体不足による生産の混乱は自動車、スマートフォンやパソコン、夏には必須のエアコンにも及んでいる。半導体メーカーの生産や在庫の実情はどうなのか。

 「1日でも、1つでも早く製品をユーザーに供給して、現在のタイトな状況を緩和したい」。国内半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長兼CEO(最高経営責任者)は7月29日の決算説明会で3月に火災が発生した那珂工場(茨城県ひたちなか市)の生産回復に努めることを強調した。

 半導体不足は一時的な需給ひっ迫ではなく、世界的なリモートワークの浸透や自動車の急速な生産回復、半導体受託製造会社(ファウンドリー)への生産集中など需要と供給両面の様々な要因が絡んで起きた。世界の半導体市場は2020年の約51兆円から30年に100兆円まで拡大するとの見通しがある一方で、生産能力は足りていない。

 ルネサスの決算資料から、在庫がどれくらいの日数で入れ替わるかを示す「在庫回転日数」を計算すると、21年4~6月期は約81日となった。3年前の18年4~6月期の約109日からは1カ月近く短い。

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