2021年度の最低賃金が全国一律で28円上がり、平均時給が930円になる見通しとなった。低賃金にあえぐ人たちには朗報だが、コロナ禍の下、打撃となる産業も多く、課題は山積している。

 「多くの経営者の心が折れ、廃業がさらに増加し、雇用に深刻な影響が出ることを強く懸念する」

 日本商工会議所は、中央最低賃金審議会(厚生労働大臣の諮問機関)が前年度比3.1%の大幅増となる最低賃金の引き上げ目安を示したことに対し、厳しい言葉で批判した。2002年度に時給方式で最低賃金を決めるようになって以降、最大の上げ幅だ。形式的には、審議会の決めた目安を基に各都道府県が最終決定するが、実際には変更されず10月ごろに適用となる。

 日商が強く反発したのは、新型コロナウイルスの感染拡大で苦しむ「宿泊・飲食」「卸売り・小売り」「サービス」などの業種を中心に中小企業への打撃が大きいと見るからだ。改定実施によって最低賃金を下回る労働者の比率は、宿泊・飲食が12.6%、卸売り・小売りは9.3%、サービスは8.0~8.7%に上った(コロナ禍前、19年度の最新データで分析)。時給が改定後の最低賃金を下回れば、当然引き上げなければならなくなるから、影響を受ける労働者の比率は、経営への打撃の大きさに近い。

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