コロナ禍が思わぬ方向から影響を及ぼしている。健康保険である。企業の業績悪化で昨年度から健保財政は赤字に転落。保険料引き上げなどで対応すれば生活と経済は一層疲弊する。

 「コロナにやられました。一昨年まで3年間、うちの健保組合は黒字だったのだけど、加盟企業の業績低迷による保険料収入減で去年赤字に転落して……。これから先もこの業種は厳しいから回復は見込みにくいと判断して今年4月に解散を決めました」

 紳士服などの製造販売会社で組織する大阪既製服健康保険組合(加盟約50社、保険対象者約2400人)の担当者は無念そうにこう打ち明ける。

 健保組合は加盟企業と、その従業員が保険料を負担し、保険金の給付に充てる。企業業績が低迷して賃金が停滞すれば、保険料収入が減り、赤字に転落しやすくなる。新型コロナウイルスの感染拡大で百貨店や専門店などの営業時間短縮や自粛が続き、アパレル業界は激しい逆風にさらされている。同健保もその余波をもろに受けたのである。

 小さな健保の解散にすぎないかのように見えるこの出来事は、実は日本経済が新たな難題を抱え始めたことを示しているのではないか。

 大企業の健保などで組織する健康保険組合連合会(健保連)によると、加盟組合(約1400)の収支は、2008年秋のリーマン・ショック以後6年間赤字を続けた後、14年から黒字に転じていたが、昨年度約2306億円の赤字(予算ベース)に転落した。さらに今年度は5098億円の赤字に拡大し、22年度になると、それが約9400億円へ膨張する恐れさえあるという。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り976文字 / 全文1639文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ニュースを突く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。