この記事は日経ビジネス電子版に『ENEOS・出光、新陳代謝は一日にして成らず』(5月24日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』5月31日号に掲載するものです。

脱炭素のうねりが企業をのみ込む。主要国政府や金融業界は温暖化ガス排出量が多い事業への資金提供や融資の停止を検討する。一方、企業は化石資源に依存した事業構造の見直しを急ぐ。

 5月20~21日にかけて開催された主要7カ国(G7)の気候・環境相会合で、各国は石炭火力発電建設への資金提供停止に向けて2021年内に具体措置を取ることで合意した。金融機関も温暖化ガス排出量が多い事業への新規融資停止を相次いで表明し、機関投資家は気候変動に悪影響を与える企業から投資撤退(ダイベストメント)に動く。だが「実業」である産業界は即時撤退という訳にはいかない。顧客への供給責任、雇用維持の役割をどう果たすのか。そして事業撤退で落ち込む売上高や利益を補う戦略も用意しなければならない。

 つまり、新陳代謝につながる「代案」なくして撤退はあり得ない。これを実践したのがENEOSホールディングスだ。「環境問題の大きな流れからして、将来のコア事業として(権益を)持つ必要はないと判断した」。5月12日の決算説明会で、大田勝幸社長は石炭事業からの撤退を明らかにした。保有する海外炭鉱の上流権益を売却し、顧客の需要家に相談しながら将来的には石炭の販売からも退く。石炭や石油の上流資産などを売却しキャッシュフローを2200億円積み上げる。

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