半導体不足の影響が多分野に広がり、増産投資が活発化している。しかし、経済安全保障も考慮して各国が競うように投資することで、長期的には供給過剰に陥る恐れがある。

 半導体不足によりスマートフォンやゲーム機、自動車などの分野で減産や在庫不足が続いている。そして、各業界における半導体への渇望感が、空前の設備投資ブームを呼んでいる。

 半導体製造装置の業界団体であるSEMIによれば、2020年の世界の製造装置販売額は前年比19%増の712億ドル(約7兆7800億円)と過去最高を記録した。SEMIは22年まで3年連続で過去最高を更新するとの見通しも公表している。

 「21年は前年比3割程度成長する」。前工程(シリコンウエハーに回路を形成する工程)製造装置の市場についてこうした見通しを示したのは、半導体装置国内最大手、東京エレクトロンの河合利樹社長。同社は22年3月期に過去最高の売上高・利益を見込む。

 半導体市場も成長が続く見通し。WSTS(世界半導体市場統計)によれば21年の半導体市場は前年比8.4%増の4694億ドル(約51兆円)になりそうだ。ガートナージャパンの山地正恒アナリストは「半導体の供給不足は21年を通じて継続する。解消するのは22年第2四半期の見込み」と予想。当面は半導体の品薄感が続きそうだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1117文字 / 全文1678文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「ニュースを突く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。