国は2021年夏にも新たなエネルギー基本計画を策定する。検討する有識者会議で目立つのは、主役であるはずの再生可能エネルギー拡大よりむしろ原子力発電所の復権論だ。

 経済産業省が開く総合資源エネルギー調査会基本政策分科会では、有識者が2030年度の電源構成の見直しに向けて、再エネや原子力、水素・アンモニア、CCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)を備えた化石火力などの比率を議論している。18年に定めた現計画は再エネの割合を30年度に「22~24%」、原子力を「20~22%」、火力を「56%」にするとしている。化石燃料を減らし、再エネをいかに主力電源として拡大できるか、水素やアンモニアなど新たなエネルギー発電はどの程度実用化できるのかなど論点は山積みだ。

 しかし分科会では「原発復権論」が噴出。3月24日の分科会では、電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)が脱炭素化に貢献するには、原発早期再稼働に加えて「原発の新増設・リプレース(建て替え)を含めた将来的なビジョンが早期に必要」と主張した。

 雌伏の時を過ごしてきた電力各社は、原発再稼働による収益安定化を強く望む。東京電力福島第1原子力発電所のメルトダウン事故以降、新規制基準に基づく審査に合格しなければ再稼働できなくなった。国内には建設中含めて原発は36基あるが、現在、安全審査に合格して地元の同意手続きなどを経て再稼働できたのは9基にとどまる。19年度では発電量に占める原発の比率は6%程度にすぎない。電力各社は代替の火力燃料費がかさんで業績不振が続く。発電コストが相対的に低い原発を再稼働できれば、1基当たり年間数百億円の収益押し上げ効果が期待できる。

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