大手企業による2021年の春季労使交渉が決着した。コロナ禍で企業業績は見通しが立ちにくく、慎重な回答が目立つ。経済の再点火に向けどう火をともせばいいか手探りの状況が続く。

 要求段階からベースアップ(ベア)を見送るベアゼロ、金額は少ないが労使が同じ方向を向いていることを示す満額回答の演出……。21年の賃金交渉は手放しでは喜べない回答が相次いだ。「別途交渉」。これもコロナ禍の春闘で相次いだ苦肉の回答の一つだろう。

 その名の通り、春の段階では明確な回答を避け、追って金額を詰める交渉術。苦境続きの大手鉄鋼各社などが取り入れ、例えばJFEスチールは年間賞与額を「別途交渉案件」とした。

 同社の場合、グループでの鉄鋼部門の収益は直近でおよそ800億円の赤字に膨らむ見通しだ。会社が前年実績(年120万円)をポンと出せる環境にはない。労使には「どう上積みをするのかではなく、いかに大幅に減らさないで済むかという決して楽しくない交渉」(同社関係者)が待っているのだという。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1256文字 / 全文1694文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ニュースを突く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。