2021年度の公的年金受給額引き下げが決まった。16年改革で導入した賃金変動を受給額に反映させるルールの初適用だ。コロナ禍で賃金は下落傾向。公的年金は一段の改革が必要になる。

 厚生労働省は1月下旬、21年度の公的年金の受給額を20年度比で0.1%下げることを公表した。17年度以来4年ぶりの減額改定だ。4月から、厚生年金では夫婦2人のモデル世帯で前年度比月額228円減の計22万496円になる。自営業者などが加入する国民年金では40年間保険料を納付した満額の人の場合で同66円減の6万5075円になるという。

 減額幅は小さいが、高齢者の不安は小さくない。神奈川県の社会保険労務士、夏野弘司氏が1月末、高齢者を対象に開いた説明会では「これからも年金は下がるのか」といった質問がいくつも上がったという。夏野氏は、「(多くの)高齢者の不安は16年改革の影響が今後も長く続くのではないかというところにある」と話す。

 公的年金は、「賃金・物価変動率」と、年金の支え手である現役世代の人口減少や平均余命の伸びを基にした「スライド調整率」で動かすことになっている。このうち、賃金・物価変動率について見ると、現役世代が納付する保険料は賃金に連動することになっているため、下落すると保険料も減る。しかし、従来は賃金が下落しても、物価が0%以上の上昇をしている場合は、改定率はゼロだった。つまり、原資となる保険料は下がっても、年金額は維持する仕組みだった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1025文字 / 全文1652文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ニュースを突く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。