この記事は日経ビジネス電子版に『広がる「産業のコメ」騒動 自動車に半導体不足の逆風』(1月12日)として配信した記事を再編集して雑誌『日経ビジネス』1月25日号に掲載するものです。

半導体不足が世界で広がる。トヨタ自動車など自動車各社は生産調整を余儀なくされた。背景には新たな産業の勃興や投機の動きがあり、すんなりと収まりそうにはない。

 年初からトヨタ社内は騒然とした。米国工場で半導体が足りず、ピックアップトラックの生産を調整せざるを得なくなったからだ。中国の工場でも1月半ば、生産ラインが一部止まった。

 予兆はあった。昨年12月、独フォルクスワーゲンが半導体不足による生産抑制を発表していた。なぜここへきて半導体が足りなくなっているのか。

 まず、新型コロナウイルスの感染拡大で激減した新車需要が想定以上の急回復を見せたことだ。2020年前半の新車販売は世界的に落ち込み、中国では2月に前年同月比8割減、米国でも4月に同5割減となった。持ち直しには時間がかかるとみられた。

 ところが、助成金や規制緩和など国家がけん引した中国で早々に好転。米国でも9月に前年同月を上回った。2大市場の復調で生産現場は大忙しとなったが、増産に欠かせない半導体への備えは万全でなかった。

 不足が顕著なのは「走る、曲がる、止まる」を制御するなど車両に指令を出す「マイコン」と、電力を効率的に使うための「パワー半導体」だ。

 マイコン不足をもたらしたのは、パソコン向け半導体などの増産。20年前半、半導体生産の主体であるファウンドリー(受託製造会社)はクルマ向けだったラインを巣ごもりで注文が増えた電子機器向けにシフトした。前後して「半導体の需要の高まりを予期したファブレス企業などがファウンドリーのキャパシティーや材料を買い占めた」(取引関係者)。自動車会社が調達を元に戻そうにも、「余裕」はなかった。

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