菅義偉政権の発足で政権内の力学が大きく変化しつつある。菅首相は自民党との調和を重視する一方、首相官邸での意思決定を自らに集中させ、「菅1強」体制の構築を目指しているようだ。

 歴代最長政権からバトンを受け取り船出した菅義偉政権。政権内の力学は早くも大きく変わりつつある。

 まずは政府と自民党との関係の変化だ。安倍晋三政権では「安倍1強」「政高党低」と称されるほど首相官邸が政策決定の主導権を握った。その最大の要因は選挙の強さだった。安倍前首相は6回の国政選挙を勝ち抜くことで政権基盤を強化。官邸が与党に対して優位に立つ構図で政策の推進力を高めた。

 菅首相は自民党総裁選で5派閥から支持を得て圧勝した。報道各社の世論調査で内閣支持率は軒並み60%を超え、滑り出しは順調そのものだ。ただ、最大派閥出身の安倍氏と違い無派閥の菅首相は党内基盤が弱い。当面は二階俊博幹事長らとの良好な関係を背景に安定した政権運営が見込まれるが、世論の支持が弱まれば求心力が低下し、党の影響力が強まりかねない。

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