衰えを見せない新型コロナウイルス。当初は暫時的な対応に見えた企業のリモートワーク推奨だが、今後、常態化しそうだ。在宅勤務にかかる費用負担をどう考えるべきなのだろうか。

 新型コロナの影響が長期化すると見越した企業が続々とリモートワークの恒常化や、それに伴うオフィスの縮小を進めている。

 富士通が2023年までにオフィス面積を半減し、リモートワークを含めた働き方の多様化を進める方針を打ち出したほか、Zホールディングス傘下のヤフーも、従来設けてきたリモートワークの回数制限やフレックスタイム勤務のコアタイムを20年10月から撤廃すると表明した。

 働き方の多様化、働く場所の変化は、想定以上に広範囲に影響を及ぼす。

 「家計データを見ると、家具・家電にかかった費用は緊急事態宣言下の20年5月は前年同月比で倍増。リモートワーク移行に伴い、机や椅子、ディスプレーなどを購入した影響ではないか」と語るのは、マネーフォワードMoney Forward Labの北岸郁雄所長だ。

 マネーフォワードは1000万人以上が利用する家計簿サービス「マネーフォワード ME」を提供している。すべての変化をコロナによる影響と言い切れないものの、昨年同時期と比べた家計支出の変化は著しいという。

 多くの企業は、社員がリモートワークの体制を整える費用を「経費」として計上している。だが、働く場所が自宅に変われば、滞在時間の長い家での支出は当然上がる。Money Forward Labの調査によれば20年6月の水道・光熱費は前年同月比で21%増だ。

 労働基準法第89条第1項第5号では「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない」と規定しており、必要に応じて就業規則の変更を求めている。

 厚生労働省が16年4月に発行した「テレワーク導入のための労務管理等Q&A集」でも、リモートワークにおける通信費や水道・光熱費の負担について明確なルールを作り、従業員に対して丁寧な説明を求めている。

 そのため、交通費の補助を撤廃し、代わりにリモートワーク手当を出す企業も多い。

 だが、ここに落とし穴があるのではないかという指摘もある。

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