新型コロナウイルス感染症のワクチン、治療薬はいずれ実用化に至るだろう。その一方で、将来、より大きな脅威をもたらすと考えられている感染症への対応が壁に突き当たっている。

 これまで人類は、病原性を持つ細菌やウイルス、真菌、寄生虫と戦うために、各種の抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬など様々な医薬品を開発してきた。だが、それらを人や動物に対して多用すると、薬剤耐性(AMR)を獲得した微生物が登場することが知られている。それに対して新しい薬を開発しても、その薬に耐性を持つ新たな細菌やウイルス、真菌などが登場するという、いたちごっこの状況となっている。

 英国政府の依頼で2014年に経済学者ジム・オニールらが作成したリポートによると、AMRによる死者数は既に世界で最低でも毎年70万人に上り、何も手を打たなければ50年には1000万人に達するという。

 こうした状況に対し、世界保健機関(WHO)は15年の総会で「薬剤耐性に関する国際行動計画」を採択し、加盟各国に対策を取るよう求めてきた。日本でも厚生労働省が16年にAMR対策アクションプランを策定し、様々な取り組みを行っているが、見通しは明るくない。特に問題が深刻な、AMRの細菌に対する有効な抗菌薬の開発が進んでいないからだ。

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