消費者物価が3年4カ月ぶりに下落した。新型コロナウイルスが企業業績をむしばみ、雇用不安や賃下げ圧力を増幅する。政権が恐れるアベノミクス逆回転も現実味を帯びてきた。

 旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)はこのほど、社員約6000人分の夏のボーナスをゼロにすると決めた。コロナ禍で旅行需要が激減し、春先からの臨時休業後も社員の給与は全額補償を続けてきたが、ボーナスを出す余力までは残っていなかった。

 金額は非公表だが、仮に夏と冬のボーナスがそれぞれ月給2カ月分相当だとすると、社員の年収へのインパクトは「夏ゼロ」で約1割減、万が一、冬のボーナスも見送りとなると、25%減となる。サービス業をはじめ昨今の人手不足の折、人材をつなぎ留めようとベースアップを含めた賃上げを続けてきた同社だが、コロナがこうした努力をも吹き飛ばす形となった。

 安倍晋三政権は、看板政策のアベノミクスを通じて次のようなシナリオを描いてきた。日銀が大規模な金融緩和をして企業の業績を下支えする。賃金を上げ、消費と経済を回していく。最終的には前年比2%増程度の緩やかな物価上昇が起き、晴れてデフレを脱却する──。

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