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日本では失業率が1ポイント悪化すると自殺者が1000人以上増える傾向がある。感染による死者を抑制できても、自殺者が急増すれば、新型コロナとの戦いに勝ったことにはならない。

 失業率と自殺者数には相関がある。

 日本で「経済や生活苦を理由とした自殺者の数」が最も多かったのは、2003年の8897人。この年は完全失業率が5.3%と前の年の5.4%と並んで近年では最も高い水準だった。その後、失業率は低下して自殺者も減るが、08年に発生したリーマン・ショックで再び状況が悪化。09年の失業率は5.1%に跳ね上がり、経済や生活苦による自殺者も8377人へと急増した。

 12年12月に第2次安倍政権が発足してから日本の雇用情勢は、アベノミクス景気に人手不足も重なって、改善していく。19年の失業率は2.4%、経済理由の自殺者数は3395人と03年よりも約5000人減った。日本の場合、失業率が1ポイント悪化すると、1000~2000人、自殺者が増える傾向がある。

 新型コロナウイルスの影響で心配なのは、失業率が急速に悪化することだ。3月30日時点で、日本国内での感染による死者数は59人(クルーズ船感染者を除く)。今後どこまで増加するかは予断を許さないが、自殺者の方がはるかに多くなる懸念がある。