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2011年3月の東日本大震災で未曽有の事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所。その後、放射線量は下がり復興も進むが、廃炉は難題山積だ。そこには国の原子力政策の問題がある。

 「(一般的な国民の意識では)福島第1原発の状況は事故当時から上書きされていない」

 間もなく事故から丸9年が過ぎ、10年目に入る東京電力(現・東京電力ホールディングス)福島第1原発に2月、足を踏み入れた。そこで案内をしてくれた東電幹部がこう漏らした。

 事故で大量の放射性物質を広い範囲にまき散らし、原発敷地内は高い放射線量を長く記録し続けた。その過酷な状況から廃炉に向けた作業へ懸命に取り組んだ結果、敷地内は96%の場所で平服の作業ができるようになり、国の除染作業によって住民帰還も進み始めた。福島第1原発と周辺地域の状況は既に変わっているが、国民の理解はまだ以前のままという気持ちから出た言葉だったのだろう。