日韓間の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が土壇場で回避された。いまだ不穏な空気が漂うが、元徴用工問題の解決や抜本的な関係改善に向けて日本側が不作為ではいけない。

 11月22日に伝わった失効回避は、GSOMIA破棄を強弁してきた韓国が折れたと評されている。日本が厳格化した輸出管理措置について世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを止めるとする一方、韓国政府高官は「いつでも効力を停止できるという前提だ」と体面を守る発言をしている。

 日本側は局長級で輸出管理のあり方の話し合いに応じる。米国の怒りを買った文在寅(ムン・ジェイン)政権に対し、日本では騒ぎが大きくなるほど反韓の世論を惹起し、安倍政権への支持が高まる構図だった。決まったことを引っくり返してきた韓国の完敗と見た日本の世論は溜飲を下げている。

 この間の米韓、あるいは日本政府も加わった多くの高官級のやり取りから、韓国と文氏の現状や特徴が分かったのではないだろうか。

 まず明快になったのは韓国が日本と交渉する意志が弱いという事実だ。文大統領はGSOMIAの失効を言い出せば日本が慌てて輸出管理も見直すと考えたようだ。外交交渉を重ねるより、政治的な打ち手で打開しようとしていた。

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