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「日本は難民を含む移民をもっと受け入れるべきだ」。10月下旬に亡くなった緒方貞子氏はかつて本誌にこう語っていた。外国人労働者の受け入れを拡大する日本に求められる覚悟とは。

 日本人初、女性初の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップを10年間務めた緒方氏が92歳で亡くなった。紛争地に防弾チョッキ姿で入り、支援を渋る各国首脳に直接働きかけて説得するなど、体を張った難民支援への貢献は、世界で高く評価されてきた。

 その緒方氏は、2006年に本誌が実施したインタビューでこう指摘していた。

 「難民を含む移民の受け入れ態勢をもっと整えるべきだ。日本の社会や産業はそうした人なしに回っていかない」

 当時の日本は現在ほど国際化が進んでおらず、人手不足も深刻ではなかった。だが、緒方氏が予言した通り、今ではさまざまな場面で外国人が必要になっている。コンビニエンスストア、飲食店、工場、農家、IT企業……、すでに多様な職場で外国人が当たり前になり、“多民族化”が進もうとしている。人手不足が深刻化する中、外国人は貴重な人材として活躍している。

 世界一の経済大国、米国は移民を受け入れて発展してきた。ユダヤ人など、生まれた国で迫害されてきた人々に門戸を開き、世界中から移民を集めた歴史がある。カナダも長年難民を含む移民を受け入れてきた。アジア、アフリカ、中東など、出身地は多様で、今や国民の5人に1人が移民とされる。同国は19年1月にも、3年で100万人の移民を受け入れる方針を打ち出した。