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5年に1度、公的年金の給付水準の変化などを試算する財政検証。政府は健全性を強調したが、現行水準を維持するためにはより長期間働く必要があるなど、課題は小さくない。

 「老後2000万円不足問題」など、公的年金に対する懸念が今年も浮上した。政府は8月末に公的年金の将来見通しを示す「財政検証」を公表し、現役世代の手取り収入に対するモデル世帯の年金額の比率を示す所得代替率は将来も「50%を維持する」とした。

 だが、財政検証の内容をつぶさに見れば、「公的年金は安定」というよりも新たな改革の必要性が浮き彫りになったと言うべきではないか。

 財政検証では今後の経済成長の想定によって6つのシナリオを用意した。2029年度から20~30年間の実質経済成長率を0.4~0.9%とする高成長を前提とした3つのシナリオでは、所得代替率が50.8~51.9%と50%を上回るという。しかし、経済成長がゼロ~0.2%と横ばいになるシナリオでは44.5~46.5%にとどまり、経済がマイナス成長のシナリオでは36~38%に落ち込むとした。