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消費税率の10%への引き上げまで1カ月を切った。軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元などが導入されるが、目的の1つである中小企業対策には逆効果となる可能性もある。

 東京都内の商店街で個人経営のピザ店を営む40代の男性は先月、熟慮の末に持ち帰り用ピザの販売をやめることにした。店内は20席程度とさほど広くない。買い物帰りの親子連れなど持ち帰りの需要は高く、販売をやめれば売り上げ減は確実だ。それでもやめることにしたのにはいくつかの理由がある。

 1つは焼き立てを食べてほしいという店主のこだわりだ。米国では「冷めたピザ」が魅力がないものの代名詞として使われるように、ピザは焼き立てを食べるに限る。持ち帰りの需要があるのは承知しながら、最高の状態で食べてもらいたかったのだという。

 もう1つは持ち帰り用の容器の使用が気になったこと。プラスチックごみによる環境汚染は世界的な問題になっている。この店の持ち帰り用容器は紙製だが、ごみとして廃棄されることに変わりはない。個人で経営する店とはいえ、年間に使う容器は相当な量になる。ごみの削減のために、まずできることが持ち帰りの廃止だった。

 どちらも店主の考えといってしまえばそれまでかもしれない。ただ、この経営判断を後押しした重要な要素がもう1つある。施行まで1カ月を切った消費税率10%への引き上げである。

 今回の消費税率引き上げでは、食料品などに対する軽減税率が導入される。また、中小店舗でのキャッシュレス決済時のポイント還元も実施される。増税による生活への影響を最低限に抑えるとともに、増税前後の消費の変動を平準化する狙いがある。