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米中対立に象徴される貿易戦争が世界経済に暗い影を投げかけている。「保護主義の先に破滅的な経済危機のリスクが見える」と世界的な投資家は警鐘を鳴らす。

 「リーマン・ショックを超える最悪の経済危機が迫っている」

 こんな不気味な予言をするのは、世界的な投資家のジム・ロジャーズ氏だ。ジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを立ち上げた人物で、リーマン・ショックの到来を予言したことでも知られる。米イエール大学と英オックスフォード大学で歴史学や政治学を学んだロジャーズ氏は、歴史に立脚した経済予測に定評がある。

 シンガポールの自宅で取材に応じたロジャーズ氏は、「米国から広がっている保護主義が経済危機につながるリスクを心配している」と強調した。

 中国に限らず、米トランプ政権は世界の様々な国に「関税を引き上げる」と圧力をかけている。輸入品に高い関税をかけ、自国産業を守ろうとする政策は、物価の上昇につながり、景気を減速させ、そして経済危機を引き起こしかねないという。

 例えば、2018年に米国が始めた、鉄鋼品の輸入に25%という高い関税をかける政策。米国の鉄鋼産業で働く14万人程度が恩恵を受けるだけで、3億人以上の米国民には負の影響を与えるという。コスト増は自動車の値上がりにつながり、一般消費者や車両を購入する物流業界にとり打撃になる。様々な分野に広がる保護主義は、消費に悪影響を及ぼし、景気を冷やすと見る。