民主化を求める学生の運動を武力で鎮圧した天安門事件から30年を迎えた。米国が警戒する中国の華為技術(ファーウェイ)の躍進と米国との衝突は天安門事件が起点となっている。

 6月4日、定例の記者会見で天安門事件について問われた中国外務省の耿爽副報道局長は、世界を揺るがしたその事件を「1980年代末に起きた政治的混乱」と表現した。

 今年は89年6月4日に起きた天安門事件から30年の節目に当たる。例年、中国では6月4日に近くなるとネットの監視が厳しくなり、事件の発生日である「64」といった数字をSNSやブログなどに書き込むとすぐに削除される。

 今年は節目の年ということもあり、例年にも増して、ネットの監視や海外へのネット接続などに敏感になっているようだ。中国の鉄道当局は6月4日の「8964」番の列車を予約できないようにした。外から見れば茶番とも思えるが、中国政府にとってはそれだけ国民の記憶から消し去りたい事件ということなのだろう。

 加えて、米国の対中政策が中国政府の対応をさらに厳しいものにしている。今年の6月4日を前に、米国務省の報道官は「天安門事件は徹底した虐殺行為」と発言。さらに同省のポンペイオ長官も中国を非難する声明を出した。

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