日本経済の先行き懸念の強まりに首相官邸が焦りを募らせている。10月に予定する消費増税が夏の参院選や景気に悪影響を及ぼしかねないためだ。消費増税は再び難関になりつつある。

 2019年度予算案の国会審議が順調に進むなど安定的な政権運営を続けてきた安倍晋三政権。そこに冷や水を浴びせる形となったのが、内閣府が3月7日に公表した1月の景気動向指数だ。

 中国経済の減速などが響き、景気の現状を示す一致指数は3カ月連続で低下。機械的に決まる基調判断は「下方への局面変化」に引き下げられ、景気後退の可能性を示唆する表現になった。

 内閣府の定義では「下方への局面変化」は事後的に判定される景気の山(ピーク)がそれ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示している。

 もっとも、正式な景気局面判断は内閣府の景気動向指数研究会が1~1年半後に行う。現時点で景気後退入りが決まったわけではない。日銀は15日の金融政策決定会合で景気の総括判断は「緩やかに拡大している」に据え置いた。

 それでも安倍晋三首相や周辺は、にわかに警戒モードになってきた。世界経済の減速で輸出や生産に悪影響が及び、今回こそ「景気後退局面に入った」と最終的に判断される可能性があるほか、5月20日に公表される19年1~3月期のGDP(国内総生産)速報値がマイナス成長になるとの見方が現実味を帯びてきたためだ。

 様々な経済指標からそうした展開があり得るとみる第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「これまで消費税導入や消費税率引き上げはいずれも景気回復局面だった」と指摘。「今後の景気動向次第で消費増税を本当に実施しても大丈夫なのか、との議論が盛り上がる可能性がある」と語る。

 夏の参院選が迫る中、野党6党派は全国に32ある改選定数1の1人区での候補者一本化への調整が遅れている。安倍首相が2月に実施させた独自の世論調査では、1人区で自民候補の勢いが確認され、安倍首相は周辺に「全般的に悪くない情勢だ」と漏らしていた。

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