米国は通信や半導体を軍事技術と同格に位置づけようとしている。今後は日本のハイテク産業も中国でのビジネスが難しくなる。華為技術(ファーウェイ)問題は対岸の火事ではない。

 1月18日、娘である副会長がカナダ当局に逮捕されてから初めて、中国の通信機器最大手、ファーウェイの創業者、任正非CEO(最高経営責任者)が日本メディアのインタビューに応じた。私も取材陣の一人として、質問した。

 同社が中国当局の諜報活動に加担しているとの疑惑については「指示を受けたことはない。できる技量があっても絶対にしない」と否定した。

 この問題の背景には、中国政府が2017年6月に施行した国家情報法の存在がある。同法は、企業や個人が当局の求めに応じて情報収集に協力しなければならないと定めている。この点について聞くと、「強制されても、絶対にしない。やらなければならないなら、会社を畳むしかない」と強く否定した。

 ただ、任CEOの言葉を額面通りに受け取るのは難しい。日本でも戦時中は国家総動員法が制定され、民間工場が軍需工場に転換された。反対する者は非国民の扱いを受けた。まして任CEOは人民解放軍出身で、共産党員でもある。この点について確認したところ、「今は軍との関わりはない。祖国を擁護する思いはあるが、イデオロギーとビジネスは切り分ける」という答えが返ってきた。

 もはやこの問題は、ファーウェイ自身の説明だけで事態を打開できるものではない。同社にかけられた技術窃盗などの容疑については捜査の行方を見守るほかない。そして、その命運は、米中対立の行方に翻弄されるだろう。

 米国がファーウェイや中興通訊(ZTE)など中国のハイテク企業に厳しい姿勢で臨むようになった背景には、サイバー空間における安全保障上の脅威が高まっていることがある。

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