労働力減少がインフレ招く
過去30年、グローバル化による中国や東欧からの安価な労働力供給が世界にデフレと低金利をもたらしてきたが、今後30年は人口の高齢化などによる労働力減少でインフレの時代に突入する──。
2020年に刊行したベストセラー『人口大逆転』(チャールズ・グッドハート、マノジ・プラダン著)が予測した未来が、コロナ禍とウクライナ戦争により前倒しで到来しています。エネルギー危機と労働市場の分断がもたらした歴史的なインフレは、世界をリセッションに引き込もうとしています。
今号の特集は「欠乏経済 燃料も人も足りない」。欧州ではエネルギー価格の高騰が市民生活を直撃し、賃上げを求めるストライキが頻発しています。米国では分断に伴う国内生産回帰やコロナ下の大量離職でブルーカラーの労働力不足が深刻になっています。新聞やテレビのニュースで断片的に伝わる状況を現地から詳細にリポートしました。
『人口大逆転』では変化が起きない日本の特殊性にも言及しています。海外の労働力の取り込みや高齢者の労働参加などで賃金上昇を抑えてきた日本。しかし、じわり広がるインフレの波が、既に対岸の火事とは言えない状況を示しています。
(磯貝 高行)
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