「想定外」は言い訳にならない

 2023年の干支(えと)は「癸卯(みずのと・う)」。新たな生命を意味する「癸」と飛躍を象徴する「卯(兎)」の組み合わせは、「努力が実を結び成長する」さまを表すそうです。兎にも角にも、平穏無事な年になることを期待したいところです。

 しかし振り返れば、12年前の卯の年に起きたのは東日本大震災。干支が巡る60年前の癸卯の年にはケネディ米大統領が暗殺されました。正月から縁起のいい話ではありませんが、想定外の事態は必ず起きます。22年にロシアがウクライナに侵攻すると予想できた人はどれだけいるでしょうか。

 今号の特集は「大胆予測2023」。台湾有事や超円安時代のリスクシナリオを大胆に予測してみました。もちろん中国による台湾への軍事侵攻などあり得ない事態ですが、こうしたリスクを想定していないことこそがリスクになる時代です。

 「外部環境がどう変わろうとも経営者はそれを言い訳にしてはいけない」。今号の編集長インタビューに登場する日本電産の永守重信会長CEO(最高経営責任者)がそう話しています。成長戦略とリスクへの対応。二兎を追う23年にしましょう。良いお年をお迎えください。

(磯貝 高行)

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