「支援」から「流出」への50年

 日中国交正常化から50年。かつての日本の技術支援で経済大国に成長した中国と、技術流出におびえる日本という構図が鮮明になっています。

 電磁鋼板に関する特許を侵害したとして昨年、中国・宝山鋼鉄を提訴した日本製鉄。実は遡ること40年余り前、中国の最高指導者・鄧小平氏の要請を受け、上海に宝山製鉄所を建設する国家プロジェクトに全面協力したのが他ならぬ日本製鉄でした。

 時は移り、宝山鋼鉄を中核とする中国宝武鋼鉄集団は世界最大の鉄鋼メーカーに成長。当時とは立場が逆転した日本製鉄は、虎の子の技術を守るためになりふり構わぬ防衛策に出ました。

 今号の特集は「だだ漏れニッポン」。海外に流出する知財や情報をどう守るかを経済安全保障の観点から分析しました。流出の原因の多くは人です。かつての「電機敗戦」の背景には海を渡った日本人技術者たちの存在がありました。彼ら一人ひとりには「技術指導」という思いがあったのかもしれません。

 技術支援・指導から技術流出への移り変わり。それは日本の国力が相対的に低下した証しともいえるでしょう。これ以上貧しい国にならないよう、官民を挙げた対策が必要です。

(磯貝 高行)

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