クビを切られる覚悟はあるか
「コーポレートガバナンスの肝は、いいCEO(最高経営責任者)を育てること。同時にパフォーマンスが悪ければ辞めてもらう、それに尽きる」。今号のインタビューに登場するキッコーマンの茂木友三郎名誉会長は、社外取締役の役割を端的に語ります。しかし日本の社外取締役にトップのクビを切る覚悟で向き合う人がどれだけいるでしょうか。
今号の特集は「ボード3.0の時代 社外取締役を再考する」。米国型の企業統治は取締役会が経営の執行を監視する「ボード2.0」から、社外取締役が長期視点で経営戦略に積極的に関与する「3.0」に移行し始めています。株主還元やコンプライアンスだけでなく、成長のためにリスクを取る判断も社外取締役に求められます。成長戦略を描けない経営トップを退場させるのも重要な役割です。
翻って日本企業はどうか。いまだ経営トップが「お友達」を社外取締役に招いたり、数合わせのためだけに女性や外国人をボードメンバーに起用したりしている企業はないでしょうか。専門家のアドバイスが必要なら諮問会議で十分でしょう。
「クビを切られても構わない」。社外取締役を招く経営者にもそんな覚悟が必要です。
(磯貝 高行)
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