早起きは三文ならぬ「三方よし」
「早起きは三文の徳」ということわざは「3日早起きすれば一人前の仕事になる」を意味する中国の古い詩の一節が由来だそうです。これを地でいくのが今号の特集「産める職場の作り方」で取り上げた伊藤忠商事の朝型勤務です。
朝5時から8時までの就業開始を推奨する伊藤忠の朝型勤務は、深夜残業が当たり前だった企業風土と子育て世代の働き方を変え、社員の出生率は10年で2倍になりました。ところが実は、そのきっかけは別のところにあったといいます。
2011年の東日本大震災直後の週明け。当時の岡藤正広社長が早朝から被災した取引先への対応に追われていると、フレックスタイム勤務の社員がぞろぞろと午前10時ごろに出社してくる。岡藤氏は「顧客視点が足りない」と危機感を募らせたそうです。
社員食堂の軽食も無料にした朝型勤務は結果として、仕事と育児の両立、労働生産性の向上、取引先とのコミュニケーションの改善という社員・会社・顧客の「三方よし」につながりました。
少子化も底が抜けた感のある日本。働き方改革で国の勢いも会社の成長も取り戻すことができるのであれば、その努力は安いものです。
(磯貝 高行)
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