DXすべきは経営者の頭の中

 先日インタビューしたPwCグループのボブ・モリッツ会長の一言が忘れられません。「ここ数年の日本企業を見ていると、デジタル化などの変化を取り入れ自己改革するスピードが一段と鈍化しているように見えます」(本誌10月3日号から)

 猫も杓子(しゃくし)もDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代ですが、日本企業が自己変革できていないと指摘される理由は、経営層の意識のせいかもしれません。

 様々な経営情報を一覧できるダッシュボードをつくっても、そこから導き出す経営戦略はトップの勘と経験に頼っていませんか。そのために各部門から集める経営情報を現場ではエクセルで管理していませんか。身に覚えのある会社は多いでしょう。

 今号の特集は「可視化経営」。顧客ニーズや潜在リスク、社員のエンゲージメントなど本来、見えないものを数値データにして分析し、意思決定に生かす企業の先進事例を追いました。

 データで勝つ企業になるためには、まず経営層の頭の中をDXする必要があります。「俺の時代までは勘と経験で大丈夫」と投資を先送りする経営者がいたら、早めに退場すべきです。

(磯貝 高行)

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