異常事態はいつまで続くのか

 政府は9月末、3カ月にわたった夏の節電要請を解除したばかりですが、この冬も再要請する方針です。東日本大震災後の2011~15年に夏冬の節電要請が続きましたが、それ以来の緊急事態。原子力発電所の再稼働が進まず、老朽化した火力発電所の休廃止が相次いでいるためです。そしてウクライナ戦争の長期化で世界的に高騰したエネルギー価格が企業の業績や家計を襲います。

 今号の特集は「薄氷のエネルギー」。取材班はエネルギー問題のリアルな現場を取材すべく全国に飛びました。電力料金が2倍になり、存続が危ぶまれている遊園地。地元の反対で建設が進まない風力発電。核のごみ受け入れで住民が分断する港町──。取材班が見た一つひとつの風景が、この国の危機を象徴しています。

 震災から来年で12年が経過するのに、いまだ異常事態が続いていることに驚きます。岸田文雄首相は8月、国が前面に立って原発の再稼働を推進すると表明しましたが、遅きに失した感が否めません。

 特集に登場する遊園地は、私が幼い頃に家族でよく遊びにいった思い出の場所。危機を乗り切ってほしいと願うばかりです。

(磯貝 高行)

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