孤独を癒やす感情的知性

 コロナ禍の中で定着したリモートワーク。育児や介護を抱える人には働きやすい環境になり、通勤時間がなくなって仕事の効率が高まった人も多いでしょう。一方、若い社員の育成やコミュニケーションロスなどの弊害も目立っています。最も深刻なのが、孤独感からくるメンタルヘルスの不調です。

 最近、若い社員に「年配の人たちはチャットが下手」と突っ込まれました。ぶっきらぼうな返信を受けると怒られているような気分になるそうです。相手の顔が見えないコミュニケーションは知らず知らずのうちに人を傷つける可能性があります。1人で仕事をしているとネガティブな気分に陥りやすく、悪意のない言葉にも敏感になってしまいがちです。

 以前インタビューしたアデコグループCEO(最高経営責任者)のアラン・ドゥアズさんは「(リモート環境では)他人がどう考えているかを理解するエモーショナルインテリジェンス(感情的知性)が重要」と話していました。特に上司は部下の感情を推し量る共感能力を養う必要があります。

 「あの件、その後どうなった?」なんてチャットを送ったら部下はどう感じるか。自分だったらきっと嫌な気分になりますよね。

(磯貝 高行)

次ページ 原発審査という生みの苦しみ