日立の樹に花は咲くか

 駆け出しの記者時代、日立グループの取材で印象的だったのが、上場子会社トップの面白さです。官僚的な親会社の経営陣と比べて魅力的な人が多く、業績もいい。「自分たちが日立グループを支えている」という自負にあふれていました。実際、日立の単体は赤字でも連結は黒字という時期もありました。

 リーマン・ショック後の2009年3月期に巨額赤字に転落した際、子会社から呼び戻された川村隆氏と中西宏明氏がV字回復の立役者になったのも、改革人材が本体に残っていなかった証しでしょう。かつて日立製作所の社長レース終盤には社内に怪文書が飛び回ったこともあるといいます。

 09年に22社あった上場子会社群は22年度中にゼロになります。売却もしくは統合される子会社の抵抗は並大抵ではありませんでした。それを成し遂げたのが、「ブルドーザー」といわれる東原敏昭会長。路線を敷いた川村氏と中西氏は後任の経営に口を出さず、OBからの批判の盾になったそうです。

 「この木なんの木」のCMで知られる日立の樹。いびつなコングロマリットから脱し、「見たこともない花」を咲かせることができるか。日立の新章を描く小島啓二社長の手腕に期待します。

(磯貝 高行)

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