神が振ったサイコロ
「神はサイコロを振らない」と言ったのは、かの天才科学者アインシュタイン。量子力学の父、ボーアとの論争の中で、量子力学は不完全な理論だと批判しました。しかし、この論争が量子力学の基礎を固め、現在に至る量子コンピューターの時代への扉を開くことになります。今から100年前の話です。
今号の特集は「量子の世紀~革命に乗り遅れるな」。アインシュタインが納得できなかった量子の世界を私が理解できるはずもありませんが、その原理を応用した量子コンピューターが私たちの暮らしや経済、産業を別次元に進化させることは間違いなさそうです。空飛ぶクルマが自由に飛び回り、宇宙旅行が身近になる未来を想像すると胸が躍ります。
特集では、すでに始まりつつある量子技術の社会実装を取材しました。素材開発や製造、物流の現場で実用化に向けた実験がスタートしています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の次に来るQX(量子トランスフォーメーション)に乗り遅れた企業は、時代に取り残されるかもしれません。
国の競争力も一緒です。桁違いの国家予算で覇権を狙う米中に対抗するため、官民の知恵を結集する時です。もう賽(さい)は投げられました。
(磯貝 高行)
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