その不祥事、不正か不適切か
6月下旬の株主総会に諮る取締役選任案に内部から異論が出るなど、経営の迷走が続く東芝。2015年7月にパソコン事業などの利益水増しの調査報告が出てから、もう7年の月日がたとうとしています。
混迷の発端となった不正な会計処理について東芝は当時、「不適切会計」という言葉を使い続けていました。18年にようやく一連の問題を「不正会計」と改めましたが、発覚当初は恐らく問題を矮小(わいしょう)化しようという思惑が働いたのでしょう。
広辞苑によれば「不正」とは「正義でないこと。よこしまなこと」、「不適切」とは「望ましくないこと」とあり、言葉の使い方で不祥事を起こした企業の問題への向き合い方が分かります。東芝が7年もの間、迷走を続けているのも案外、こうした意識が抜けていないからなのかもしれません。
今号の特集は「不正につける薬」。コロナ禍の閉塞感の中、企業や官公庁で不祥事が相次いでいます。特集では再発防止を誓う企業の取り組みを基に、不正を防ぐ処方箋を探りました。
さて、発覚から1年たっても品質不正問題の終着点が見えない三菱電機。発表資料の文言がいまだ「不適切行為」なのが気になります。
(磯貝 高行)
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