百福翁が語る「破壊」と「執念」

 「ぶち壊してしまえば、必ずあとから何かの芽が出る」。日清食品の創業者、安藤百福氏の言葉です。

 終戦後の食糧難の時代、闇市のラーメン屋台に並ぶ人々の姿を見て、家庭ですぐ食べられるラーメンの開発に没頭した百福氏。1日平均4時間の睡眠で丸1年をかけ、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を世に出しました。

 今号の特集は「日清食品3代 破壊の遺伝子」。世の常識や従来の慣例を壊すチャレンジ精神は同社を率いる2代目・宏基氏と3代目・徳隆氏に引き継がれ、その経営は新しいステージに入りました。

 国内外の様々な研究で、同族企業の業績は非同族企業より優れているという結果が出ています。中長期視点で経営戦略を立てやすいメリットが最大の要因でしょう。一方で、世代交代まで20~30年かかる同族企業は、ビジネスモデルの転換など経営に革新を起こしにくいデメリットもあります。

 同族企業の後継者にはサラリーマン社長以上に、過去の成功体験を破壊する覚悟と、長期にわたって経営革新を完遂する強い意志が求められます。百福氏は生前、こうも語っています。「目標を持ったら、あとは執念だ」

(磯貝 高行)

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