転勤肯定派ですが何か

 20年ほど前の話。上司から突然、大阪への転勤を言い渡され、頭が真っ白になりました。子供はまだ小さく、マイホームを購入したばかり。地方から上京して仕事に慣れてきた私には当時、「飛ばされた」という印象が強かったように思います。

 ところがいざ転勤してみたら大阪での仕事はとても充実していて、成長を実感できる濃密な時間でした。そして住めば都。東京に戻る頃には家族も大阪から離れたくないと言い出すほど。あの4年間がなければ今の自分はないと断言できます。そんな「転勤肯定派」はもう少数派なのでしょうか。

 今号の特集は「さらば転勤~変わる日本型雇用」。リモートワークの定着、ジョブ型人事への転換、大離職時代の到来──。終身雇用を前提とした日本型雇用慣行は転機を迎え、転勤制度を見直す企業が相次いでいます。辞令1枚で転勤を命じる文化は過去のものになるのかもしれません。

 それでも今回、実際に転勤を経験した人へのアンケートで転勤経験に「満足している」「非常に満足している」と答えた人は全体の3分の2に上りました。「わが意を得たり」と膝を打ったのは、私だけではないはずです。

(磯貝 高行)

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