「会社の寿命」を延ばせるか

 「会社の寿命は30年」。日経ビジネスが1983年に唱えた説です。総資産や売上高などの変化を分析し、企業が繁栄を謳歌する旬の期間は30年ほどと割り出しました。コロナ禍やウクライナ危機など不確実性が高まる現代では、会社の「寿命」はさらに短くなっているはずです。

 今号の特集は「勝ち残る『変身経営』」。事業ポートフォリオを柔軟に入れ替え、変化に対応しようとする企業の動きを追いました。その最も極端な例が会社分割でしょう。発明王トーマス・エジソンを始祖に持つ米ゼネラル・エレクトリック(GE)は医療機器、電力・再生可能エネルギー、航空機エンジンの3つに会社を分割することを決めました。米IBMはITインフラの運用サービス部門を分社しました。

 共通するのは事業のもたれあいで企業価値が下がるコングロマリット・ディスカウントの回避を株主から求められていることです。しかし、130年続いたGEの場合、その歴史や伝統はどこへいってしまうのだろう──。そんな疑問はラリー・カルプCEO(最高経営責任者)に見事に喝破されました。「ビジネスはコーポレートのために存在するのではなく、顧客のためにあるものです」

(磯貝 高行)

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