懐事情の開示が新たな収益源に

 「共通して直面しているのは『お金が稼げない』という課題だ」。今号の戦略フォーカスで取り上げたエメラダの猪野慎太郎社長は、オンライン資金管理サービスの主力ユーザーとして想定している地域金融機関と中小企業の実態を、こう分析しました。

 日銀の超低金利政策が長引き、金融機関が集めた預金の運用益や、取引先への融資から得る利息だけで生き残る時代は終わりました。日本商工会議所による2月の調査では、中小企業の63%で新型コロナウイルス禍による経営悪化が続いています。

 エメラダのシステムは、そんな現状の打破をサポートするものです。企業が懐事情をオープンにすれば、金融機関からタイムリーで充実したコンサルティングを受けやすくなります。かたや金融機関にとっては、そこに新たな収益源のヒントが隠れている可能性があります。

 「大きな目標がないのは、これからいかようにも進んでいけるチャンス」。エメラダを取材していて、2021年6月に亡くなった中西宏明・経団連前会長(日立製作所前会長)にもらった激励が浮かびました。目先の経営に追われていても、大胆で有効なビジネスモデルを探してほしいと思います。

(鳴海 崇)

日経ビジネス2022年3月14日号 98ページより目次

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