世界史に刻まれる愚挙

 我々は歴史から何を学んでいたのでしょう。偏狭なナショナリズムが行きつく先は、古代から現代まで常に国家間戦争でした。米国や中国、欧州で台頭するナショナリズムに目を奪われ、チェチェン紛争からクリミア併合に至るロシア大統領プーチンの大ロシア主義の危うさを過小評価していました。

 「まさか本当にウクライナに侵攻することはないだろう」。2月24日の全面侵攻まで、そんな確証バイアスに陥っていた自分を恥じるばかりです。

 「ウクライナは常にロシアの一部だった」と語るプーチンの歴史観は1000年以上前、両国が同じ起源を持つ「キエフ公国(キエフ・ルーシ)」に遡るといわれます。周辺国への侵略で版図を広げたのがキエフ大公ウラジーミル1世。くしくも同名のウラジーミル・プーチンが仕掛けたウクライナ侵攻という愚挙は世界史にどう刻まれるのでしょう。

 戦禍の祖国から避難するウクライナ人を取材するため、ロンドンの大西孝弘支局長が隣国ポーランドに入りました。聞こえてくるのは家族と引き裂かれ、明日をも知れぬ避難民の悲痛な叫びです。戦争が引き起こす悲惨と苦痛を、我々は今に伝え、歴史に残さなければなりません。

(磯貝 高行)

次ページ 懐事情の開示が新たな収益源に